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結論(要約)
「RWA」「証券化」「セキュリティトークン(ST)」という3つの言葉は、しばしば同じ意味であるかのように混同されますが、実際には指している範囲が異なります。結論から言うと、RWAが最も広い概念で、STはその中の法的なサブセット、証券化はSTを生み出す伝統的な金融手法という関係になっています。
証券会社でM&A業務にも携わってきた経験から見ると、「RWA=まったく新しい金融商品」という理解は誤解を招きやすいと感じます。RWAの多くは、証券化という数十年前から存在する手法を、ブロックチェーンという新しい記録技術に置き換えただけのものです。この整理を知っておくと、RWA関連の商品を見たときに「これは伝統的な証券化商品の延長なのか、それとも本当に新しい仕組みなのか」を冷静に見極めやすくなります。
仕組み・基本知識
証券化(セキュリタイゼーション)とは
証券化とは、不動産や債権といった資産を裏付けに有価証券を発行し、投資家に販売する金融手法です。日本でも住宅ローン担保証券(RMBS)や資産担保証券(ABS)として数十年にわたり使われてきました。ブロックチェーンの有無に関係なく成立する、伝統的な金融技術です。
セキュリティトークン(ST)とは
STは、証券化によって生まれた「有価証券」を、ブロックチェーン上のトークンとして発行・管理する仕組みです。「元証券マンが見るRWAの法規制」で整理した通り、日本では2020年施行の改正金商法で「電子記録移転有価証券表示権利等」として法的に位置づけられています。つまりSTは、証券化という手法によって生まれた権利を、ブロックチェーンで表現したものです。
RWAとは(最も広い概念)
RWA(Real World Assets)は、現実資産をブロックチェーン上のトークンとして表現する技術全般を指す、最も広い概念です。STのように有価証券に該当するものだけでなく、宿泊施設の利用権をNFT化したような、有価証券に該当しない権利のトークン化もRWAに含まれます。整理すると次のような包含関係になります。
RWA(最も広い) ⊃ ST(そのうち有価証券に該当するもの) ← 証券化(STを生み出す伝統的な手法)
比較・選び方
| 項目 | 証券化 | セキュリティトークン(ST) | RWA(広義) |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 有価証券を生み出す伝統的な金融手法 | 証券化された権利をブロックチェーン上で表現したもの | 現実資産をトークンとして表現する技術全般の総称 |
| 法的位置づけ | 金商法上の有価証券 | 金商法上の電子記録移転有価証券表示権利等 | 有価証券に該当するものと該当しないものが混在 |
| ブロックチェーンの利用 | 前提としない | 前提とする | 前提とする |
| 具体例 | 住宅ローン担保証券(RMBS)、資産担保証券(ABS) | 不動産ST(Progmat基盤等) | 不動産ST、BUIDL、ジパングコイン(ZPG)まで全て含む |
この表で分かる通り、「RWA」という言葉だけを見て安心・不安を判断するのは早計です。同じRWAという括りの中に、金商法で厳格に規制されたSTと、規制の枠組みがまだ整理されていない商品の両方が混在しています。
リスク・注意点
- 「RWA」という言葉の広さゆえに、有価証券に該当するもの(ST)と該当しないものが同じ言葉で語られがちです。購入前に「これは金商法上のSTなのか、そうでないのか」を必ず確認する習慣が重要です。詳しくは「元証券マンが見るRWAの法規制」を参照してください
- 伝統的な証券化の手法自体は、2008年の世界金融危機で複雑な証券化商品(CDOなど)の質の劣化が問題視された歴史があります。現状のRWA商品(BUIDLやZPGなど)は単純な現物資産の1対1トークン化が中心で、当時のような多層的な証券化商品とは性質が異なりますが、「証券化」という手法自体にそうした歴史的な教訓があることは知っておく価値があります
- 「STとして法的に整理されている(証券化されている)」ことと、「発行体・保管者が信頼できる」ことは別軸の話です。前者は法律上の分類、後者はカウンターパーティリスクの話であり、両方を別々に確認する必要があります。詳しくは「元証券マンが見るRWAのカウンターパーティリスク」を参照してください
まとめ
RWA・証券化・STという3つの言葉は、「広さ」が異なるだけで、対立する概念ではありません。RWAという大きな枠の中に、証券化という手法によって生まれたSTが含まれている、という包含関係を理解しておくと、ニュースや商品説明を読むときの解像度が一段上がります。ブロックチェーンという技術の新しさに気を取られず、「これは結局、伝統的な金融のどの手法に対応するのか」を都度確認する視点が、RWAと付き合ううえで一番地味ですが役立つ習慣だと感じています。
RWAの基本的な仕組みについては「RWA(現実資産のトークン化)とは?仕組みと投資対象をわかりやすく解説」を、規制面の詳しい整理については「元証券マンが見るRWAの法規制|金融商品としてどう扱われるのか」を、発行体の信頼性の見極め方については「元証券マンが見るRWAのカウンターパーティリスク|発行体は信頼できるのか」を、実際にゴールド連動のRWAトークンを購入した記録は「GMOコインでOPメインネット版ジパングコイン(ZPG)を買ってみた|国内初のL2上のゴールドRWA」もあわせてご覧ください。


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