元証券マンが見るRWAの法規制|金融商品としてどう扱われるのか

RWA

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結論(要約)

RWA(現実資産のトークン化)は「トークン化されている」という見た目の共通点で一括りに語られがちですが、法律上の扱いは裏付け資産の性質によってまったく異なります。

日本ではすでに2020年5月施行の改正金融商品取引法で「電子記録移転有価証券表示権利等」(セキュリティトークン、ST)という枠組みが整備されており、不動産の受益権や社債をトークン化したものは、この枠組みの下で証券会社と同等のライセンス・開示規制の対象になっています。一方、BUIDLやUSDYのような海外発行の国債トークンや、実物資産の利用権をNFT化したようなものは、有価証券に該当するかどうかがケースバイケースで、2026年7月に成立した暗号資産の金商法改正が及ぶ範囲とも一部重なる、より複雑な整理が必要になります。

証券会社でM&A業務にも携わっていた経験から見ると、RWAの規制論点は目新しいものではなく、「この権利は伝統的な有価証券の定義に当てはまるかどうか」という、金融の世界で繰り返されてきた線引きの延長線上にあると理解すると分かりやすくなります。

仕組み・基本知識

国内のRWAはすでに「証券」として規制されている領域がある

2020年5月施行の改正金商法(情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律)により、「電子記録移転有価証券表示権利等」が有価証券の一類型として明確化されました。この枠組みはさらに3つに分類されます。

  • 有価証券表示権利(トークン化有価証券): 株式・社債など、もともと第一項有価証券に該当する権利をトークン化したもの
  • 電子記録移転権利: 不動産信託受益権など、集団投資スキーム持分(みなし有価証券)に該当する権利をトークン化したもの
  • 適用除外電子記録移転権利: 取得者・譲渡先を技術的に制限することで、電子記録移転権利の規制対象から除外されるもの

国内で組成が進んでいる不動産ST(Progmat基盤を使ったものなど)の多くは、この「電子記録移転権利」に該当します。つまり、発行・勧誘には第一種金融商品取引業等のライセンスが必要で、投資家への情報開示も従来の証券と同水準のルールが適用されるということです。

海外発行の国債トークン等は「発行地のルール」に依存する

一方、BlackRockのBUIDLやOndo FinanceのUSDYのような、米国債等を裏付けとするファンド持分型のトークンは、主に米国の証券規制の下で発行されています。日本の投資家がこれらを取引所やDEX経由で購入する場合、それが金商法上の「有価証券の募集・勧誘」に該当するかどうかは、発行体が日本の投資家に向けて能動的に勧誘を行っているかどうかで判断が分かれます。海外発行体の多くは日本向けの販売体制を整えていないため、購入経路次第でグレーな領域が生じやすいのが実務上の論点です。

暗号資産としての金商法改正との関係

2026年7月に成立した暗号資産の金商法改正(詳しくは後述の関連記事参照)は、これまで資金決済法上の「決済手段」として扱われてきた暗号資産全般を、金融商品として位置づけ直すものです。RWAのうち、セキュリティトークンの枠組みに該当しない部分(例えば宿泊施設の利用権をNFT化したようなもの)が、この改正でどう扱われるようになるかは、現時点(2026年8月)ではまだ政省令の詳細が固まっておらず、今後の議論を注視する必要があります。

比較・選び方

資産タイプ主な法的位置づけ発行・勧誘に必要なライセンス具体例
不動産ST・社債ST(国内発行)金商法上の有価証券(電子記録移転有価証券表示権利等)第一種金融商品取引業等Progmat基盤の不動産ST
国債トークン等(海外発行のファンド持分型)発行国の証券規制に準拠。国内での取扱いはケースバイケース発行体側のライセンスに依存。国内販売体制の有無で解釈が変わるBUIDL、USDY等
実物資産の利用権・現物受領権型トークン有価証券に該当しない可能性が高いが、資金決済法・今回の金商法改正の対象になりうる資産の性質次第宿泊施設・スキー場の利用権トークン等
コレクターズアイテム等のNFT型現状、有価証券にも暗号資産にも該当しないケースが多い個別判断酒類・美術品等の受領権NFT

「トークン化されている」という見た目の共通点だけで規制の重さを判断せず、裏付けとなる権利の性質(発行体が何を約束しているか)まで確認するのが実務の基本です。

リスク・注意点

  • 海外発行のRWAトークンを日本の個人投資家が直接購入する場合、投資家保護のための開示規制(目論見書に相当する情報開示)が及ばないケースがあります。発行体の財務情報や監査状況は自分で確認する必要があります
  • 無登録の海外業者が日本語サイトで勧誘を行うケースについて、金融庁は繰り返し注意喚起しています。日本語対応しているからといって、国内の規制対象として整備されているとは限りません
  • 暗号資産の金商法改正はまだ施行前(2027年見込み)であり、RWA関連トークンのうち「特定暗号資産」の対象になるものとならないものの線引きは、今後の政省令で明確化される見込みです。現時点で断定的な判断はできません
  • 本記事は2026年8月時点の公開情報に基づく一般的な解説であり、法律・税務上の助言を目的としたものではありません。実際の投資判断にあたっては、必ず最新の公式情報および弁護士・税理士等の専門家にご確認ください

まとめ

RWAは「トークン化」という技術的な共通点で語られがちですが、法律上は裏付け資産の性質によって扱いが大きく異なります。国内の不動産ST等はすでに証券並みの規制下にありますが、海外発行の国債トークン等は発行体側のルールに依存する部分が大きく、今後の暗号資産の金商法改正の行方によっても位置づけが変わっていく可能性があります。

RWAの基本的な仕組みと投資対象については「RWA(現実資産のトークン化)とは?仕組みと投資対象をわかりやすく解説」を、暗号資産全体の税制・法制度の変更点については「暗号資産の金商法改正はいつから?分離課税20%への税制変更点をわかりやすく解説」を、規制とあわせて確認しておきたい発行体の信頼性については「元証券マンが見るRWAのカウンターパーティリスク|発行体は信頼できるのか」を、証券化・セキュリティトークンとの関係整理は「元証券マンが見るRWAと証券化の違い|セキュリティトークンとの境界線はどこにあるのか」を、あくまで暗号資産としての規制を受けるゴールド連動RWAの実例については「GMOコインでOPメインネット版ジパングコイン(ZPG)を買ってみた|国内初のL2上のゴールドRWA」もあわせてご覧ください。

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